Typhoon Of Love
⑪ (叶美サイド)
--*--*--*--*--*--

その日の帰り。

百合と別れて、1人夜道を歩いていた。



「おーい。かーなみー!!」



声のする方に私は振り返った。

手を振って走ってくる男が見えた。

すぐに誰か気付き、そしてすぐにそいつを知らんぷりをした。



「おいっ。分かってんだったら止まれっつーの!!」



「誰があんたのために止まってあげるか!!」



「今日は大事な日なんだからよぉ」



「大事な日?」



「あ、お前完全に忘れてんだろ。オレ様記憶力お前よりいいもんなあー」



ふんふんふんと鼻歌をならしながら、私の隣りに来て、いきなり腕を掴んできた。



「な、なにすんの!!」



「いいからついてこいよ」



そう一真は言い放って、いきなり駆け出した。

私は引っ張られたまま一真についていった。


< 19 / 107 >

この作品をシェア

pagetop