Typhoon Of Love
⑫ (一真サイド)
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叶美の瞳から、涙が溢れていた。

その瞳に見つめられた時、なぜだか背筋がゾクゾクした。
それと同時に胸にも矢が刺さったように、ズキズキ痛んだ。



―やべぇ。オレまじでこいつに惚れたかも!!



いや、この瞬間だけのせいではないようにも思える。
これは単なるこれが恋だと思わせる後押しになったのかもしれない。

少なくともオレはこいつを守りたいと思ったのは事実だ。



「だ、大丈夫か?」



「…うん。大丈夫」



叶美は立ち上がろうとするとフラッと倒れそうになったから、すぐに支えてやった。



「お前、そんなに龍人の告白に揺れてるのか?普通に告られただけだろ。キスはないにしろ、告られたことは何度もあるんだろ?」



叶美は少し黙ってから口を開いた。



「……い」



「え?」



「ないの!!初めてだったの!!だから動揺しちゃって。しかも吉井くん…私のファー…」



「それ以上言うな!!またお前泣くだろ。もう鍵テキトーに返して早く帰ろう」

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