マイ・ディア・タイガー
「図書館じゃ話せないし、ファミレスとかは休日に勉強してると注意されるからねー。四條、日曜日大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です」
「虎頭先輩の家知ってる?」
「いえ、知らないです…」
「そっか、四條の家からだとちょっと戻るからどこ集合がいいかなあ」
田中先輩の言葉に、違和感を覚えた。
「あの、私の家って通り道ですよね…?」
「…あ。そうだったね、そういえば。……やっぱり先輩の家じゃ遠慮しちゃうんで、俺んちにしますか」
田中先輩が困ったように笑って言った。心なしか虎頭先輩も気まずそうに見える。
どちらにせよ私にとっては先輩と家なのだから遠慮してしまうのだが、田中先輩の家はお店を経営しており、何かと集まりがあれば田中先輩の家に行く事が多いそうで、結構皆田中先輩の家にお邪魔していると聞いた事がある。
その点でも、虎頭先輩の家にお邪魔するよりは田中先輩の家の方が少し気が楽だ。
「トラ先輩にわざわざ参考書持ってきて貰う事になっちゃうんですけど…」
「いや、大丈夫。助かるわまじで」
「四條は、俺の家知らないよね」
「はい、すみません…住所教えていただければ」
「ちょっとわかりにくいと思うから、トラ先輩、四條と一緒に来てくださいよ」
「あー、わかった」
「四條携帯持ってないんで、待ち合わせとかダメですよ。ちゃんと家まで迎え行ってくださいね。通り道ですもんね」
「…わかってるよ」
虎頭先輩が素直に頷く。
それを見て、私は緊張で少し吐き気がした。