マイ・ディア・タイガー
日曜日、私はとても緊張していた。
朝は自然と早く目が覚めたし、少しでも先輩によく思われたくて勉強を進めた。
「莉々子、お母さんパート行ってくるね。悪いけど、お昼自分で作って食べてくれる?ごめんね」
「わかった、気にしなくていいよ。気をつけてね」
「そういえば今日、先輩に勉強見てもらうんでしょ?失礼のないようにね。ちゃんと勉強して来るのよ」
「はーい」
「一応お菓子買っておいたから、持っていって。女の子が好きそうなもの買っておいたから」
「あ…ありがとう」
母は、サッカー部の先輩とはマネージャーの女の先輩の事だと思い込んでいる。
元々部活にあまり来ていなかったからそれ程親しくなく、母に部活の様子を聞かれても会話に出した事はほとんどない。
しかし、大人しくどちらかといえば引っ込み思案だった私が男の先輩に仲良くしてもらってるとは思いもしないのだろう。
私がサッカー部のマネージャーになったと伝えた時も、信じられないといって相当心配された。
男の先輩だよ、とわざわざ言うのも恥ずかしく、何も言えなかった。