Shooting☆Star
その日は朝から体調が悪かった。翌日はダイチの部屋で貴重なオフを過ごすつもりだったので、別に外に出ないしいいか…と、思っていた。
夕方には仕事を終え、先にダイチの部屋に帰宅して部屋を片付ける。
少し横になろうと、ソファーに寝そべり、そのまま眠ってしまった。
日が暮れて帰宅したダイチが見たのは、熱を出してグッタリとした百香の姿だった。
最悪なことに月のものも始まってしまい、百香は戸惑った。
ダイチには買い物を頼めない…。そこで、百香はカレンを呼んだのだった。
カレンが人気ドラマのヒロインへと抜擢されたことで、女優としての知名度が上がり、彼女の明るい清潔な雰囲気も相まって今やドラマに映画にと引っ張りだこなことは、所属事務所が違うとはいえ、百香も知っている。
他に方法がなかったとはいえ、うっかりしていた。
まさか、別の張り込みをしていた記者に見つかるなんて……。
事務所は友人として関係を否定したが、しばらくの間、芸能関係のスクープを狙う各社によって、ダイチは追われることになるだろう。間を置かずに2度目があれば、非公式であれ世間の目は確信に変わるし、話題にもなる。
アイドルグループと言えども、20年も活動していると、その活動は多岐に渡る。
その為、彼等の所属する事務所の規定により、ひとりのマネージャーが受け持つことが出来るのは3人まで。6人組のS☆Sは、現在、モモと本間、二人のマネージャーによって支えられている。本間さんは3年前に退職したそれまでのマネージャーの代わりに本社からやってきた。
グループメンバー以外でこの“事務所”に出入りする人はあまり多くない。
殆どの社員は駅前の大きなビルに構えた本社に勤務しているし、本社にはスタジオもジムもレッスン室も立派なものが併設されている。
20年前に、社長の木下が会社を立ち上げた時から、ここは“事務所”と呼ばれていた。本社を繁華街の駅前に移した今も、社員からは“事務所”と呼ばれ続けている。