Shooting☆Star
その日の深夜、そろそろ寝ようとベッドに入った百香のところに、メッセージの着信があった。
灯りを消した部屋に、スマホの画面が明るく光る。通知を確認すると圭太からだった。
珍しい。と思いながら、枕元のスタンドを付けてメッセージに目を通す。
「リンク見て。ももちゃん、これ、覚えある?」
そう書いて添えられたSNSのリンクを開くと、1つの投稿が表示されていた。

〈S☆Sのファンのみなさんへ
もう、出待ちはやめませんか?公式で禁止されていることは、ちゃんと禁止されるだけの理由があって、やっぱりやめた方がいいと思うのです。〉
投稿はツリーになっていくつか続いていて、見覚えのある紫色のティディベアのアイコンが並ぶ。
百香はゆっくりとそれを辿る。
〈恥ずかしい話ですが、私は今日、出待ち中に倒れてMGさんに助けられました。仕事中のMGさんは私に気付いて、すぐに出てきて介抱してくださいました。ルールを破った私にも、MGさんは優しく接してくださいました。〉
〈これはMGさんの仕事ではありません。〉
〈色々な意見はあると思いますが、実際はファンを憎く思っているわけでも、見下しているわけでもありません。〉
〈MGさん達はするべき仕事をしているだけです。S☆Sのメンバーが安全に仕事が出来るように、ファンのみんなが楽しめるように、ルールを作り、それを守れない人を注意しているだけです。〉
〈彼女がMGじゃなくても祐樹くんはきっと彼女を選んだと思います。同性の私から見ても彼女はとても優しくて強くて魅力的な人でした。少なくとも、立場を利用して誰かを独占するような、そういう人ではありません。〉
〈だからもう、根拠のない噂で誰かを叩いたり、ルールを破るような行動はやめませんか?少なくとも私は、S☆Sのファンとして自分の行動を恥ずかしく思い、反省しています。〉
〈最後に。動けなくなった私に手を貸して、きちんと叱ってくださった百瀬さん、ありがとうございました。コンサートとても楽しむことが出来ました。この呟きが届くとは思えないけど、もう一度御礼を言いたくてここに書きます。〉
〈ありがとうございます。「いっぱい楽しんで」という言葉、忘れません。〉

ミズホの一連の投稿は、たくさん拡散されているようだった。ハートマークの横の数字もくるくると数が増えていく。
賛同するコメントも、心無い言葉も、沢山の書き込みがミズホの投稿に続く。
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