Shooting☆Star
☆4話☆
ミーティングの為に本社から事務所へ移動しながら、今日は朝が長いな……と、百香は思う。
月末のミーティングが終わったら、そのままラジオ番組の収録をして、移動して昼の生放送、午後はクリスマス特番の為のバラエティ番組の収録がある。身体を使ったゲーム中心のバラエティはS☆Sの得意とするところだが、今日は早く帰りたい。
「時間ギリギリになっちゃったね。今日は予定詰まってるから、ミーティングは伸ばせないよ。」
腕時計を見ながらそう言う百香に急かされて階段を登り、祐樹と百香は予定時刻ピッタリに事務所のドアを開ける。
「あれ?」
百香は自分の腕時計を見て、事務所の入り口から見える掛け時計を見る。
既に鍵が開いていて、全員が集まっている筈の事務所は人の気配がなく静かだ。
さっき、ギリギリになるとメッセージを送った時には、みんな着いてると本間さんから返事があった。
祐樹と顔を見合わせると、祐樹がニヤリと笑う。
「モモ、裏口の鍵、持ってる?」
小声で尋ねる祐樹に百香は黙って鍵の束を渡した。
「オレ、裏口まわるわ。」
「私、正面から入るね。」
百香も小声で応える。
揃ってスマホのカメラを動画にしてスタンバイして、無言で笑いあう。
百香は祐樹が裏口へとまわるのを見届けてから、中に戻り、事務所から廊下へ続くドアを音を立てて開ける。
静かなレッスン室の中で人の動く気配がする。
百香は録画ボタンを押して、レッスン室のドアにそっと手を掛ける。
直後、部屋の中から「えぇぇーーーそっちかよーーーー!」と拓巳の悲痛な叫び声が聞こえた。
よし。
百香は笑いながら押さえていたドアを開け、祐樹が裏口から入ることでサプライズが失敗したパーティー会場を録画する。