恋のリハビリ ~ 曖昧な関係に終止符を
律の部屋の玄関脇で腕時計とにらめっこしつつ
イライラと待っている利沙。
「ったくもう、何時間待たせる気よっ! りつぅ?!」
カチャっと音がして、ドアは小さく開いたが
利沙が続けて言った「早くしないと置いてくよー」
の言葉で。
「じゃ、そうゆう事で」
と、すぐにドアは閉まってしまう。
「今さら何言ってんのよ!」
と、そのドアを慌ててこじ開け、
玄関先に立っていた律の姿に絶句した。
「……りさ? どうか、した?」
「どうかした……じゃ、ないわよ。何なの?
あんたのその恰好はっ」
利沙が絶句したのも当然で、
律は警官が見れば100パーセント職質をかける
だろう、全身黒ずくめスタイルだ。
「どこか可笑しい?」
「あ――っ、もうっ! ……」
最早、いちいちツッコミをいれるのにも疲れ、
とりあえずやたらと縁の広い帽子とサングラスに
黒い手袋は外させ。
玄関の戸締りをさせて、
利沙はおっとりの律を急がせる。
「ほら、10分の快速に乗り遅れたら完璧遅刻よ。
急いで!」