恋のリハビリ ~ 曖昧な関係に終止符を

 律と利沙の行き先は、
 2020東京五輪以降、都市再開発が急速に進み、
 30年前とは街の様相も道行く人々も一変した
 若者の街・渋谷。
 

「ったくぅ ―― 律のせいで時間ギリだよ……」


 まだ ブツクサ文句を言ってる利沙に引っ張られて

 目的のお店を目指して歩いていると、


『お ―― 利沙と律じゃん』


 だれ……?

 微かに聞き覚えのある声に振り向く。
 
 数人の先輩達が手を振って近づいてきた


『わぁぁ ――っ。
 佐々木さんに矢田さん、津田さんも~』

『お前ら、相変わらず変わってねーな。
 ま、少しは女らしくなったか』

『少しはって何ですか!!
 こーんなに女性らしくなったじゃないですか』


 またも街の中に響く利沙の憤る声


『だぁぁぁ~うるせぇ』
『声でけーよ』


 こんなやり取り

 昔は毎日で

 楽しくて仕方なかった若き日の頃を思い出した


『いいから早く、店に行こーぜ』


 呆れたように頭を掻きながら歩き出した
 佐々木さんをゾロゾロと皆で追いかけながら

 何年経っても変わらないっていいな、
 なんてしみじみ感じてしまった。
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop