恋のリハビリ ~ 曖昧な関係に終止符を
律と利沙の行き先は、
2020東京五輪以降、都市再開発が急速に進み、
30年前とは街の様相も道行く人々も一変した
若者の街・渋谷。
「ったくぅ ―― 律のせいで時間ギリだよ……」
まだ ブツクサ文句を言ってる利沙に引っ張られて
目的のお店を目指して歩いていると、
『お ―― 利沙と律じゃん』
だれ……?
微かに聞き覚えのある声に振り向く。
数人の先輩達が手を振って近づいてきた
『わぁぁ ――っ。
佐々木さんに矢田さん、津田さんも~』
『お前ら、相変わらず変わってねーな。
ま、少しは女らしくなったか』
『少しはって何ですか!!
こーんなに女性らしくなったじゃないですか』
またも街の中に響く利沙の憤る声
『だぁぁぁ~うるせぇ』
『声でけーよ』
こんなやり取り
昔は毎日で
楽しくて仕方なかった若き日の頃を思い出した
『いいから早く、店に行こーぜ』
呆れたように頭を掻きながら歩き出した
佐々木さんをゾロゾロと皆で追いかけながら
何年経っても変わらないっていいな、
なんてしみじみ感じてしまった。