Beast Love
「……あ。ポチと、同じクラスの小羊じゃねぇーか。なに、お前らそんな重なり合って、なにしてんの? もしかしてこんなところでヤッて……」

「なにも、やってません!!」

ガバァッと素早く態勢を整えて、筋肉ダルマと向き合う。


「って言うか、あなたこそなにやってんのよ。真っ昼間から喧嘩して。……口から血、出てるじゃん」


「なんだ、見てたのかよ。先にアイツから廊下でぶつかって来て、『詫びに金出せよ』とかほざいてきたからぶっ潰しただけだっつーの」


(……え? ここ、高校ですよね? 歌舞伎町じゃないよね? なんて物騒な高校なんだ、ここは)


内心、転校して来たことを後悔していると、マサトが唇を拭いながら顔をしかめる。


「最近、校舎内でカツアゲが横行してるって噂あったし、まぁ大方犯人はアイツだろ。良いことしたっつーことで大目に見ろよ」


「あれっ? じゃぁ、さっきの喧嘩は、悪い奴をやっつけてたってこと?」


そう尋ね返せば、彼は心底鬱陶しそうな表情を浮かべる。


「……っで、ポチはなんでこんな所に来たんだよ。俺に何か用でもあるわけ?」
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