Beast Love


良いやつなのか、悪いやつなのか。



いまいち把握しきれない彼の態度に困惑しつつ、私は玄武くんのことについて知っていることがあれば教えて欲しいと懇願する。


「はぁ? アキラについて教えろってか? なんだ、俺からアキラに乗り換えんの?」

「……違っ! そういうわけじゃなくって、」

顔を真っ赤にして否定すれば、マサトは明後日の方を見やる。

「……今日の放課後。駅前にあるバスケットボールコートに来い。あ、変装して来いよな? そこでアキラについて、教えてやるよ」


彼はそう言い残して、再び校舎内に消えて行った。


「……駅前にある、バスケットコート……?」


確かに、小さな敷地内にレンタルのできるコートがあるのは知ってるけど……


そこで一体、なにが分かるの?


「……って、ハルカくん。いつまでそこで倒れてるの? 早く起きて上がって、教室に戻ろうよ」


腹部を下にして大の字で潰れている友人の脇をツンツンと突けば、瞬時に息を吹き返した。


「ぶわはっ! ちょっとやめてよー。せっかく、ノゾミちゃんがシリアスな雰囲気で良い感じにマサトくんと喋ってたから、僕、空気になろうと頑張ってたのにぃ」


「はいはい、それはどうもありがとうございました」

相変わらずお調子者の彼の手を引きつつ、私は教室に戻るのであった。
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