Beast Love
緑色したフェンスを開いて中に入ると、怖そうなタトゥーの入った大学生や同じ歳くらいの高校生、純粋にバスケを楽しんでいる中学生がいた。


どうやら30分単位でコートを借りれるらしく、入り口にレンタルの終了時間が書かれている札がかけられている。


「じゃ、俺らも30分だけコート借りっぞー」


いつの間にやら受付に代金を支払ったマサトが、未知の領域にズカズカと入っていく。

「え! 私たちも今からバスケするの?!」

「おう。小羊は、まぁ……スカート履いてるしなぁ。適当にコートの端で、応援しといてくれや。バスケすんのは、俺とポチだけだ」


スカートのパンチラからの最悪ポロリを気遣って、ハルカくんにそう指示を出す暴君王。


……ってか、


「私とアンタが、1対1で勝負するのぉ?! 白虎町くんは?!」

「えー。俺はムダに汗とか、かきたないんでぇ〜、今回はパスでー」

「だ、そうだ。分かったら黙ってそこに座ってろよ、ポチ」


もうすぐ終わるコートの前で胡座をかいている彼に狼狽えつつ、それ以上は何も話そうとしない空気に、ちょっとムッとしてしまう。



(何よ、もうちょい事情を説明してくれても良いじゃんか……。と言うか、私とマサトがバスケでタイマン勝負?! 一応、こっちは女子なんですけどもっ!)


そんな不満を胸に、やがて目の前のコートから中学生たちが出て来て、私たちが入ろうとした…………その時だった。
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