Beast Love
「おい、ちょっと待てや。俺たちが勝ったんだから、何か言うことあんだろうが」


マサトが、ガシッと大学生の肩を掴んだ。


「ああ?! たかがミニゲームに勝ったくらいで、あんま調子乗んじゃねぇぞ、クソ高校生が!」


しかし彼らはコートを奪おうとしたことを謝罪するどころか、マサトの顔面に向かって、手にしていたスポーツドリンクを浴びせたのだ。


バシャッと勢い良く水がかかり、掛けていた眼鏡は床に飛ばされる。


「………………」


無言で髪から水分を滴らせるマサトの背中に、沸々と燃え上がる炎を纏った鬼が見えた気がした。



(あ、あの大学生の人たち、死んだなぁ)


私がそう確信すれば、それに呼応するかのようにマサトは両手指の骨をバキバキと鳴らしながら、髪をいつもの形に整える。


殴る、絶対これは相手を殴る!!


ハラハラしながら行く末を見守っていると、隣に立っているパーカーくんが変装の解けた彼を見て驚いた声で、「ま、マサト?」っと狼狽えていた。


「えっ? あなた、誰?」


私も釣られて驚くと、パーカーくんがこちらを凝視してからついに被っていたフードを脱いだ。



その下に隠れていた、素顔とは……


「ああ、やっぱりコッチは天音さんだったか。どーも」

「あーっ! げ、玄武くん!?」



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