Beast Love
(なになに? この人、そんなに有名人なの?)っと首を傾けていると、その叫びを聞いた他の大学生達も顔を真っ青にする。


「鳳凰 正人、桜島高校でケンカが馬鹿強いっていう、要注意人物……」

「あっ、もしかして……。小学生で当時この辺を仕切っていた【rabbit】って不良グループに単身乗り込んだっていう、あの伝説の…………」


小学生で不良団体に乗り込むなど、相当なクレイジーでなければ出来ないはず。


当の本人は、「あー、確かそんなことあったなぁ。懐かしい」と、思い出話に花を咲かせるような朗らかな笑みを浮かべていた。


「で、テメェらにお願いしたいことがあんだけどさぁ。俺からのお願い、聞いてもらえるよなぁ?」

彼らの後ろにあるフェンスを蹴りつけ、マサトはにっこりと恐ろしい笑みを送る。


「そこの爽やかパーカー男に話し聞いてる間、ちょ〜っとそこで待っててくれよ? なっ?」


何が何だかよく分からないが、マサトの良からぬ正体を知っている大学生たちは、先ほどとは打って変わって無言で何度も頷いていた。

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