Beast Love
退部届け
ーー……時は今から数ヶ月前に、遡る。
桜島高校のバスケ部は毎年、全国大会に出場している強豪校だった。
『おい、6番! 今のパスはなんだ、もっとディフェンスをよく見ろ!』
『はい!』
お馴染みのしかめっ面をした多田顧問と、大学生のOBの湯沢コーチを迎えて、選手たちは毎日練習に励んでいた。
バッシュが体育館の床をこする甲高い音、ゴールを揺らす迫力のある音、誰かの罵声、心地の悪い湿気。
その頃の俺はまだ蒸し風呂のような体育館で汗を滴らせボールを追いかける、選手のうちのひとりだった。
『よし、玄武! 良い仕上がりだ。よく攻めれてるぞ』
『はい、ありがとうございますっ』
厳しい顧問から逐一賞賛の言葉を受け取る俺を見ていたOBのコーチ、湯沢先輩が練習終わりに嫌味を投げてくる。
『玄武、お前は多田顧問にアピールするのが上手いなぁ』
桜島高校のバスケ部は毎年、全国大会に出場している強豪校だった。
『おい、6番! 今のパスはなんだ、もっとディフェンスをよく見ろ!』
『はい!』
お馴染みのしかめっ面をした多田顧問と、大学生のOBの湯沢コーチを迎えて、選手たちは毎日練習に励んでいた。
バッシュが体育館の床をこする甲高い音、ゴールを揺らす迫力のある音、誰かの罵声、心地の悪い湿気。
その頃の俺はまだ蒸し風呂のような体育館で汗を滴らせボールを追いかける、選手のうちのひとりだった。
『よし、玄武! 良い仕上がりだ。よく攻めれてるぞ』
『はい、ありがとうございますっ』
厳しい顧問から逐一賞賛の言葉を受け取る俺を見ていたOBのコーチ、湯沢先輩が練習終わりに嫌味を投げてくる。
『玄武、お前は多田顧問にアピールするのが上手いなぁ』