Beast Love
部活も終わり、夕闇を背に生徒たちが下校を始める頃。


「うわっ。体育館にタオル、忘れたかもしれない」

「マジかよ玄武〜。校門で待っといてやるから、早く取りに行って来いっ」

「悪いな、サンキュー」

部活仲間をおいて、俺は忘れ物を取りにまず、鍵が置いてある職員室へと向かう。


が、しかし。


「あれ? 鍵が無い……」

体育館の鍵をかけてある場所に、鍵自体が見当たらない。


首を傾げて立ち尽くす俺の背後から、多田顧問が声をかけてきた。


「なんだ玄武、忘れ物か? 体育館の鍵なら、湯沢から『10分だけ練習したいから、自分が施錠します』と申し出があってなぁ。まだ体育館に残っとるから、今なら間に合うぞ。早く取りに行って来い」
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