Beast Love
(湯沢コーチが残ってんのか……。気まずいな)
駆け足で内心ではそんなことを思いながら、体育館の入り口の前に辿り着いた俺は、固く閉ざされた扉の前で首を傾げる。
(……暑いのにわざわざ扉を締め切って、居残り練習しているのか? 余程、練習してる姿を見られたくないんだな)
更に気まずいなぁ、と考えつつ、渋々取っ手を掴んで横にスライドさせる。
「湯沢コーチ、お疲れ様です。玄武です、忘れ物をしたので入ります」
一礼して顔を上げるも、中には誰にもおらず、俺の声が舞台に反響しているだけで。
「……? コーチ、もう帰ったのか?」
いや、でも鍵は開いていたし……。
じゃぁ、今はどこかの水道場で顔洗ってるとか、荷物まとめてから閉めるつもりなのか。
「おっ、あったあった。俺のタオル」
何にせよ、さっさとタオルを回収して早く出よう。
隅っこに置き忘れた緑色のタオルを拾い上げ、その場から去ろうとした、その時だった。
「…………やっ、」
どこからか、女性の吐息が聞こえてくることに気付く。
駆け足で内心ではそんなことを思いながら、体育館の入り口の前に辿り着いた俺は、固く閉ざされた扉の前で首を傾げる。
(……暑いのにわざわざ扉を締め切って、居残り練習しているのか? 余程、練習してる姿を見られたくないんだな)
更に気まずいなぁ、と考えつつ、渋々取っ手を掴んで横にスライドさせる。
「湯沢コーチ、お疲れ様です。玄武です、忘れ物をしたので入ります」
一礼して顔を上げるも、中には誰にもおらず、俺の声が舞台に反響しているだけで。
「……? コーチ、もう帰ったのか?」
いや、でも鍵は開いていたし……。
じゃぁ、今はどこかの水道場で顔洗ってるとか、荷物まとめてから閉めるつもりなのか。
「おっ、あったあった。俺のタオル」
何にせよ、さっさとタオルを回収して早く出よう。
隅っこに置き忘れた緑色のタオルを拾い上げ、その場から去ろうとした、その時だった。
「…………やっ、」
どこからか、女性の吐息が聞こえてくることに気付く。