Beast Love
***



数日後、ついに決戦の日がやってきた。


マサトの脅しにビビりまくった大学生達は、律儀に湯沢コーチをバスケコートに連れてきていた。

「なんだよ、玄武。こんなにギャラリー集めて、俺に何かする気か?」



自分を呼び出してきた大学生に、見ず知らずの社会人たち、私とマサト、それと白虎町くんにハルカくん。


フェンス越しに見える観客たちを見回していた湯沢コーチは、その中に小雪さんを見つけると一瞬だがピクリと反応し、口角を上げる。



不安そうにレンタルコートに祈りを捧げていた小雪さんであったが、湯沢コーチと視線が合うや否や、気まずそうに顔を下に向けてしまった。



一連の流れだけで、部外者の私にも彼女がどんな辛い目に遭ったのかが安易に想像できた。


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