Beast Love
ガッと肩を組まれ、萎縮してしまいそうなくらいの鋭い黒目を向けられる。


「だいぶ遅くなっちまったし、家まで送って行ってやるよ」

「そ、そそんなの悪いし結構です!」


玄武くんは意味深に小さく肩をすくめた後、マサトに対して短くお礼を言い、バスケ部の団体に混ざってしまった。


(うわぁ〜、またマサトとふたりっきりにされちゃった。で、デジャブ……)


優しくされたらされたで、裏になにかあるんじゃないかと勘ぐってしまう自分がいる。


あれっ、って言うか今、ノゾミ、名前で呼んだ?

……ううん、私の気のせい?


「はぁ? 一回送ったことあんだから、もう何回送ろうが一緒だろ。つべこべ言ってねーで、早く出るぞ」


予想していた返答とは違っていたようで、一気に不機嫌にさせてしまったようだ。

「はい、すみませんっ! よろしくお願い致します!」


これ以上怒らせると怖いので、大人しく言われるがままに、犬のように彼の後ろをついて帰ることにした。
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