Beast Love
「お前さ、」


突然、思い出したかのように前を行く彼に声を掛けられ、ビクリと肩が震えた。

「は、はい!」

「湯沢の野郎に最後突き飛ばされてたけど、身体、大丈夫なのか?」

ぶっきらぼうな態度とは裏腹に、その口からは確かに私の身を案じる内容が飛び出した。


驚いた、この暴君には私を思いやると言う理性をお持ちなのかと。


明日はきっと雨が降るなぁ、っと目を丸くしつつ、「うん」と頷く。


「そうか。……っつーか、正義感強いのは良いけどよ、」


そこでマサトはくるりと振り返り、顎をグイッと引き上げてくる。


「お前、もうちょっと自分が”女”だって自覚した方がいいんじゃねぇの?」
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