Beast Love
ご主人様に逆らうなんざ100年早いとかなんとかあしらわれつつ、家まで送り届けてもらった私はマサトに感謝した。


「じゃぁな、また明日」


女子を送るなんてことは手慣れているかのように、あっさりと踵を返す背中を呼び止める。


「あのさ!」

「……なんだよ?」

一旦言葉を区切ってから、私は兼ねてから聞きたいと思っていたことを口にする。


「あなたはどうして……そんな躊躇いもなく人を助けることが出来るの?」


正直、羨ましかった。


私には到底、出来ないことだから。

いざ行動に移そうとしても、心のどこかでトゲが刺さったように引っかかって、足がすくんでしまうから。



「色々、考えたことないの? もしかしたら差し伸べた手が逆に、誰かを苦しめることになるんじゃないかって。……有り難迷惑になるんじゃないかって」

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