Beast Love
その言葉に、ブチッと頭の筋の切れる音がした。



「誰が、」


「ア?」


「誰が、好きでもない男を相手するか! 馬鹿じゃないの?!」


巨大な金切り声にクラスメイト達が動きを止めて私を凝視していることに気付き、ハッと我に返る。


(し、しまった…………。やってしまった……)


来て早々、悪い癖が出てしまった。


イライラしたら、後先考えず思ったことを口にしてしまう、私の悪い癖が。


世間では思ったことを上手く隠して立ち振る舞う方が何倍も賢い、って分かってるハズなのに……。


「あぁ? なんだクソ女、俺に文句あんのか?」


しかも、ここには私の味方になってくれる人なんて、誰ひとりいない。


侮蔑の目を向けてくる人、緊張した面持ちの人……。


みんな、ただの傍観者。


遊びを邪魔され、怒った顔したヤンキー野郎が、座り込んでいる私の胸ぐらを掴んできた。



「ウサミちゃんには、女だけには手ぇ上げるな、って言われてるが……あんま調子乗ってっとぶちのめすぞ?」


「うっ、……」


片方の腕が、大きく振り上げられる。

(な、殴られるっ……!)


首を圧迫されながらも、謝るなんて死んでも嫌だなんて意地になっている、……その瞬間だった。


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