Beast Love
どんよりとした気分で騒がしい方に視線をやると、ホームルーム中にも関わらず青龍院くんの席の周りには人だかりが出来ていた。

「青龍院のやつ、またオール1位だぜ?!」
「平均点余裕で越えてる教科ばっかりだしよー。お前、平均点上げんなよなー、下々の俺らが苦労すんだからよぉ〜」


教卓に立つ宇佐美先生はパンパンッと両手を叩きながら、「ほら、席に着けー。それか、青龍院に爪の垢貰って煎じて飲ませてもらいなさーい」っと、抑揚のない声でホームルームを進める。



「とりあえず、中間テストが終わってホッとしてるヒマは無いわよ? 夏休み前に期末テストがあることも、お忘れなく」


人は誰しも平等であると言いながら、なぜに実力テスト・中間テスト・期末テスト・模擬試験などと何回も優劣をつけられなければいけないのか!

おかしい、おかしいぞ、教育委員会!

心の中でそんな不満をぶちまけつつ、持っている中間テストの結果をぐしゃりと歪めた。


波が引いたかのように静まり返った教室に対し、宇佐美先生はさらに追い討ちをかける。


「期末テストの結果次第では夏休みが無くなる子もいるわよ? えっ、みんなしてなにその顔! 当たり前じゃなーい。中間テストでヤバかった子たちは、今のうちから頑張りなさいね。あ、あと近々ある文化祭についてもまた話し合うから、頑張りましょうねっ」
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