Beast Love

「へぶぁっ？！！」


変な声を上げながら、ヤンキー野郎が物凄い勢いで斜め後ろに吹っ飛んでいった。


一瞬、なにが起こったのか分からなかった。


しかし、次に聞こえてきた低い声に、びくりと身体が反応する。


「おい、笹原ぁ？ えらい絶好調じゃねーか。俺がいねぇ間に、偉くなったもんだなぁ、オイ」


見上げると、笹原とかいうヤンキー野郎が、先ほどまで教室にはいなかった男子生徒に胸ぐらを掴まれ、足が宙に浮いていた。


その男子生徒の、射抜くような金色の瞳。

一際目を引く、赤茶色のウルフカットの髪。


濃紺のブレザーの上からでも分かる、引き締まった筋肉と、並々ならぬ強者のオーラを纏っている。


(彼が、もしかしたら宇佐美先生の言っていた……)



笹原が、苦しさに顔を歪めながらその男子生徒の名を呼ぶ。


「鳳凰 正人……、くん……。や、ヤダなぁ。そんなの、誤解だよ……」