Beast Love
「ヨウが仲間はずれにすんなって言うから、連れて来た」

尋ねられた本人は偏差値の高い大学の過去問を広げて、淡々とシャーペンを走らせている。


「おい、ヨウ。お前はホント、台風みたいな奴だな」

「いやぁ、それほどでも〜」

「いや、褒めてねぇ」


不機嫌そうなマサトを無視してキョロキョロと辺りを見回してみると、部屋の中にある物全てが高級感に溢れていた。


吹き抜けになっている白い天井。


教科書の横に置いてあるブランドの焼き菓子と紅茶。


店内のような内装だが、どうやら正真正銘、青龍院くんのお家らしい。


(父親は大学病院の院長、母親は看護婦長さん。大金を稼ぐ両親の元に生まれると、こんなに大きな家に住めるんだなぁ〜)

ちょっと埃の被った大きな液晶テレビや、無造作に放られたスリッパなど。


お洒落で知的な香りの中に、どこか生活を感じさせる雰囲気が至る所に見て取れる。



頭上を仰げば、真っ白な天井に取り付けられたシーリングファンがくるくると回っているのが視界に入った。
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