Beast Love
翌日のホームルームでは、進路希望調査表が配られた。



キュートなウィンクを飛ばし、宇佐美先生は説明を付け加える。


「貴方達が提出した進路希望をデータ化してまとめるから、ちゃーんと真面目に提出期限までに記入してね」



(…………自分の将来かぁ)


なにが変わる訳でもないけど、真っ白な紙を表裏にひっくり返す。


(私も、いつまでも学校にいれる訳じゃないんだなぁ……)


こういうものを渡されると、急に現実を叩きつけられた気分になる。


まぁ、当たり前だけどさ。


でも、何に成りたいとか、この大学に進学したいとか。


そう言った希望が、今の自分にはまるで無いのである。



‪『まだ貴方達は子どもなんだから、そんなことするのは早いわよ』っという制限と、『もうすぐ大人になるんだから、もっとちゃんとしなさい』っというご都合主義な言葉の間で揺れる、多感な心。‬


先の見えない漠然とした不安が、私の将来を記入しようとするペンを止めた。


(……普段はフザケてるけど、他のみんなはどんな未来を夢見ているんだろう?)



卒業するってことは、離れ離れになるってことだよね。


有り難いような、少し寂しいような…………。
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