Beast Love
──……場所は変わり、青龍院 透の豪邸。



「ただいま」


学校から帰宅すれば、珍しく父親の革靴が揃えて玄関に置かれていることに驚く。


(もう帰って来てるのか……)


憂鬱な気分で静かにリビングの横を通り過ぎようとすれば、「透、こっちに来なさい」と厳格な父の声が俺を呼び止めた。


大人しくリビングに向かえば、ソファに座って新聞を広げているそれが、活字から目を離さずに問いかけてくる。


「進路希望調査表、ちゃんと出したんだろうな?」


ドキッ、っと心拍数が上がる。


父は回りくどい質問はしない。


いつだってシンプルだ。


それ以上の会話は無駄だとでも言いたげな背中で、俺の返事を待っている。








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