Beast Love
ひとまずあれこれ考えるのはやめにして、私はすぐさま外出用の鞄を手に取り、腰を上げた。


「いいよいいよ! 私、今からスーパーに行って、買ってきてあげる」


「そうかい? 学校から帰ってきたばっかりなのに、悪いねぇ」


ひょこひょこと後ろを付いて来るおばあちゃんの歩幅に合わせて玄関に向かい、靴を履いていると。



「ノゾミの長所はねぇ、こうして”困っている人に手を差し伸べて上げれる”ところだと、ばあちゃんは思うよ」


「えっ?」


靴箱に手を置いて支えにしている祖母は、ニコニコと笑顔だった。


「中々おらんからね、ノゾミみたいに優しい心を持つ人はね」


「ふふっ、ありがとう。じゃぁ、行ってくるね」


「雨が降りそうだから、傘を持って行きなさい。気を付けて行くんだよ」


「はーい」
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