Beast Love
ぶつかって、吐き出して
流しを片付け終えた頃には時刻は既に20時を過ぎていた。
「今日は、ありがとうございました」
玄関先まで見送りに来た私とおばあちゃんに、丁寧なお辞儀を繰り返すトオルくん。
私は「あっ、」っと声を上げ、家から出ようとする彼を引き止めた。
「ちょっと待って! まだ雨降ってるから、傘貸してあげるよ」
そう伝えると私個人のウサギ傘……ではなく、余っているビニール傘を手渡す。
「ウチのご飯食べたくなったら、いつでも来ていいよ。おばあちゃんも楽しそうだったしさ」
傘を受け取り、ニコニコと笑みを浮かべるおばあちゃんに視線を向けると、トオルくんは照れ臭そうに俯く。
「……ありがとう」
そのまま片手を上げて雨降りしきる景色の中へ溶けていく背中は、なんだか明るい感情が滲み出ていた。
「今日は、ありがとうございました」
玄関先まで見送りに来た私とおばあちゃんに、丁寧なお辞儀を繰り返すトオルくん。
私は「あっ、」っと声を上げ、家から出ようとする彼を引き止めた。
「ちょっと待って! まだ雨降ってるから、傘貸してあげるよ」
そう伝えると私個人のウサギ傘……ではなく、余っているビニール傘を手渡す。
「ウチのご飯食べたくなったら、いつでも来ていいよ。おばあちゃんも楽しそうだったしさ」
傘を受け取り、ニコニコと笑みを浮かべるおばあちゃんに視線を向けると、トオルくんは照れ臭そうに俯く。
「……ありがとう」
そのまま片手を上げて雨降りしきる景色の中へ溶けていく背中は、なんだか明るい感情が滲み出ていた。