Beast Love
「……ノゾミちゃん? 気ぃ付けた方がエェよ?」



突然、白虎町くんが下から顔を覗き込んできたものだから、ビクリと身体を揺らしてしまう。


「な、なにを?」


一歩身を引き、恐る恐る尋ねれば、燻んだ髪色を夕陽に輝かせた虎は薄ら瞳を開く。


「……みぃーんな、愛に飢えた獣やからね。パクッと食べられへんように、気ぃ付けよ?」


「あ、あははー。男はみんな狼だもんね。気をつけるよ」


この時の私は、白虎町くんの忠告を楽観視していた。




……桜も散り5月は終わりを迎え、やがて草木が青々と茂る6月を迎える。



私たちはそれぞれの想いを胸に秘めたまま、波乱万丈な文化祭を迎えることとなる……。



〈 episode.3 終 〉
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