Beast Love

波乱万丈な幕開け

ーー ……一方その頃、職員室では。



「ウサミ先生、良かったですねぇ。”普通”の生徒がクラスに入って」


頭のハゲ散らかした教頭が、眼鏡をカチャカチャと揺らして宇佐美教員に近付いてきた。


宇佐美教員は自分の担当している教科の準備物を整えながら、小鼻を膨らます。



「ウチのクラスには、”普通の生徒”しか、いませんよ」



「は、それはどうですかねぇ?」


危ない噂の飛び交う、白虎町。


女子生徒のスカートを盗撮した男子生徒や、他校の不良とも関わりのある喧嘩っ早い笹原。


「それに、本校1番に暴れ倒している、鳳凰 正人まで貴方のクラスにはいる。彼らのどこをどう見れば、”普通”などと言えるのでしょうかねぇ、まったく」



この教頭め、残りの髪も毟り取ってやろうか。と、宇佐美はニコニコしながら内心、毒を吐いていた。


教頭の嫌味ったらしい忠告は、尚も止まらない。

「本校の誇りでもあった学年トップの頭脳を持つ青龍院や、バスケ部エースの玄武まで何故かそちらのクラスにいる始末だ……。青龍院は自ら問題児の巣窟であるクラスに希望を出したのだから、困ったもんですよ。玄武は、いきなり顧問を殴って部活を辞めているし……。ウサミ先生、これ以上貴方のクラスで”問題”が起きないよう、くれぐれも気を付けて下さいよ?!」


宇佐美はクスリと笑ったあと、椅子から立ち上がった。



「生徒たちが何の理由もなしにそのような行動を取るとは、私には思えません。原因が必ずある筈ですよ、教頭先生」
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