Beast Love
「そーそー。手術前の妹が、文化祭に遊びに来るんだとよ」


どうやら白虎町くんの妹さんは、生まれつき身体が弱く、病院に入退院を繰り返しているらしい。


大切な手術を控えている妹さんはとても気落ちしているようで、兄の白虎町くんはなんとか元気づけようと日々奮闘しているとのこと。




「ヨウが毎日違う女子と出歩いてんのは、女子の間で流行ってるモノをリサーチして、妹にプレゼントするためだとよ。バイトしてんのも、そのプレゼント代を稼ぐためって本人が言ってたぜ? どんだけシスコンなんだよな、アイツ」


妹さんを元気づける方法のうちのひとつが、もうすぐ開かれる文化祭。


今年の文化祭に遊びに来ることを、彼女はとても楽しみにしているらしい。


そしてマサトは、親友である白虎町くんのために、文化祭で披露する演劇を成功させようと……



「じゃぁ、貴方は親友の妹のために文化祭を成功させようと、真剣に取り組んでるってわけ?」


整理して口にすれば、あまりに真っ直ぐすぎる人格に、惹きつけられそうになる。


憧れ、嫉妬、熱情。


胸の中でいろんな感情が蠢いていて、苦しい。


質問された本人は椅子に背を預けて、含みのある笑顔を浮かべていた。


「あんまり変な勘違いしてんじゃねーよ。俺はただ、校長から貰える賞金のためにやってるだけだ」



そうだ、っと頷かない辺りが、なんとも鳳凰 正人らしい答え方だなぁと思う。
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