Beast Love
(……これ以上同じ空間にいたら、彼の醸し出す雰囲気に酔いそうだなー……)


そんな危機感すら感じ始めた時、椅子に座っているマサトが俯いて胸を抑えていることに気づく。



「……っ、」

「……ね、ねぇ。大丈夫?」



恐る恐る歩み寄ると、彼は歯を食いしばっていた。


「くそっ……、こんなときに、またかよ……」


自身の服を握り締めている手が、微かに震えている。



思わぬ展開に、動揺してしまう。


「えっ?! ちょ、ちょっと、わたし、誰か呼んで来……」


教室から出ようと上半身を捻った瞬間、後ろから腕を掴まれてしまった。


「わっ?!」


そのまま引き寄せられ、バランスを崩した身体は床に倒れ込む前に、椅子に座るマサトの上半身にぶつかる。
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