Beast Love
……突き合う?


突き合うって?


それはつまり、セッ………………………



「はっ、はぁ?!!!」



今日の中で一番、大きな声が出た。


今まで生きてきた中では最大クラスの怒りが、沸々と込み上げてくる。


背中に回されていた腕を振り払い、もがいて熱から脱出する。



「ば、馬っ鹿じゃないの!? いや、貴方のことを少しでも見直したり、心配した私の方が馬鹿だった!」


なぜか目に涙が浮かんできた。

自分でも、どうしてこんなに悲しい気持ちになるのか分からない。


さっきから、感情が思考に追いつかない。



手のひらで涙を拭っていると、橙から紺色に染まる教室に飛び込んで、ふたりの間に立ちはだかる人物が現れた。


それは……


「天音さん、大丈夫かっ?!」


「ト、トオルくん……」


帰ったとばかり思っていた、青龍院 透くんだった。
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