Beast Love
そんなある日、いつものように放課後、ガソリンスタンドでバイトしていると見覚えのあるシルエットを見つけてしまう。


「天音さんって、好きな人とかいるの?」

「そんなこと聞いてくるってことはさ、トオルくんは好きな人いるってことなんじゃないの?」


それは最近、急激に距離を縮め始めたポチ公とトオルだった。


トオルの奴は自分の進路が決まってからと言うもの、生き生きとしている。


……まさかそれが、ポチ公にアプローチかけやがるまで復活するなんざ、思ってもみなかったが。


俺自身も、強敵なライバルが現れ、余計に焦りを感じている。


「いるよ。好きな人って言うか、気になってる人。俺が気になってる人は、……」


親密な関係を築きつつあるのか、トオルの意味深な言葉に動揺するポチ公。



次の台詞はなんとなく、想像がついた。


そして、その台詞をトオルが告げた時、ポチ公の隣に俺の居場所が無くなることも分かった。



唐突に突きつけられた銃口に、熱が込み上げてくる。



聞きたくねぇ、言わせねぇ。


そう思ってしまう自分が、クソダサくて、虫酸が走った。


いつから俺は、ポチ公のことをこんなにも…………


「ありがとうございましたーっ!」



すべてをかき消すかのように張り上げた声が、夜空に木霊する。


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