Beast Love
…………2時間後。


「フルーツポンチ、うまーっ!」




私たちは中庭の花壇に腰掛けて、PTAの奥様方が出店している1杯100円のフルーツポンチを食べていた。


紙カップの中で、カラフルなフルーツたちが透明なサイダーの中を縦横無尽に泳いでいる。


まさに汁まで飲み干せる、至極の一杯だ。


蒸し暑い日差しに、シュワシュワと弾ける炭酸音。


首から下げているキャラクターもののタオルで汗を拭き取りながら、ハルカくんが項垂れている。


「はぁー。お昼に近づくにつれて、暑くなってきたね」



「同感です」っと頷けば、頭上から別の人物に名前を呼ばれる。


「おーい、天音さん、小羊ー」


顔を上げれば、窓から玄武くんが身を乗り出していた。


体育会系特有の張りのある声で、数十メートル離れている私たちに向かって伝言を残す。



「そろそろ本番前のリハーサル始めるから、教室に戻って来いだってさー」

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