Beast Love
***
「ごめんねー、小雪ちゃん。わざわざ私に付き合ってくれて」
前島 いのり、通称いっちゃんと呼ばれている彼女は、初対面の者とも臆せず接することの出来る人物である。
「良いよいいよ、天音さんからの頼みだし、私も天音さんたちの演劇を誰かと一緒に見に行きたいと思ってたから」
「そっか、ありがとうっ」
親友の文化祭に参加するために遠路はるばるやって来た前島 いのりであったが、視界の隅に映ったある男子に目を奪われた。
「あ、あれは…………」
それは、彼女が通う高校では悪名高き生徒、城之内 智広だった。
(な、なんで城之内が此処に……っ?!)
城之内は恋人のカレンや、仲間複数人と、派手な私服のまま自由気ままに中庭の中央に陣取っている。
(それに、カレンまでいるし…………)
視線を外したくても、嫌という程に釘付けになる。
友人が悲しみに暮れていた日々が、彷彿と蘇る。
ー『いっちゃん、私……間違ってたのかな……? 私は、あの子を助けたかっただけなのに……』ー
ー『私、自分のことがまた、…………』ー
(マズい。 彼奴らがノゾミんを見つけられたら、確実にヤバい)
ざわざわと不安な予感が、隙間風のように吹き込んでくる。
「……今度こそ、ノゾミんが壊されちゃう……っ」
「ごめんねー、小雪ちゃん。わざわざ私に付き合ってくれて」
前島 いのり、通称いっちゃんと呼ばれている彼女は、初対面の者とも臆せず接することの出来る人物である。
「良いよいいよ、天音さんからの頼みだし、私も天音さんたちの演劇を誰かと一緒に見に行きたいと思ってたから」
「そっか、ありがとうっ」
親友の文化祭に参加するために遠路はるばるやって来た前島 いのりであったが、視界の隅に映ったある男子に目を奪われた。
「あ、あれは…………」
それは、彼女が通う高校では悪名高き生徒、城之内 智広だった。
(な、なんで城之内が此処に……っ?!)
城之内は恋人のカレンや、仲間複数人と、派手な私服のまま自由気ままに中庭の中央に陣取っている。
(それに、カレンまでいるし…………)
視線を外したくても、嫌という程に釘付けになる。
友人が悲しみに暮れていた日々が、彷彿と蘇る。
ー『いっちゃん、私……間違ってたのかな……? 私は、あの子を助けたかっただけなのに……』ー
ー『私、自分のことがまた、…………』ー
(マズい。 彼奴らがノゾミんを見つけられたら、確実にヤバい)
ざわざわと不安な予感が、隙間風のように吹き込んでくる。
「……今度こそ、ノゾミんが壊されちゃう……っ」