Beast Love
「ああ、コイツ? 今日から俺らの新しいクラスメイトっつーか、俺のペット」


人権なんて無視して迷い無く言い放つ彼に口をポカンと開けていると、乱暴に肩をグイッと抱き寄せられる。


「だから、勝手に手ぇ出すなよ?」


整った顔が肩に乗り、思わず赤面してしまった。


「俺のペットにちょっかいかけたら、どうなるか分かってるよな?」

「わ、分かってるってばー」
「そんな顔しないでよぉ、マサトくん」
「あ、もうチャイム鳴っちゃうよ。早く教室戻ろ。マサトくん、またねーっ」


再びバタバタと靴を鳴らし去っていく女子生徒達の背を見送っていると。


「ま、そういうことだからあんま勝手に出歩くなよ? ノゾミ」


ポンっと頭に大きな掌が降りてきた。


廊下に鳴り響くチャイムと同時に、彼は教室に戻っていく。


「え、っていうか、今、ノゾミって私の名前呼ん……」


振り返った彼は、ニタリと小悪魔な笑みを浮かべていて。


「早く来いよ、ポチ。授業始まっちまうぞ?」



優しくしたり、意地悪したり。

環境の変化に対応しきれていない胸は、ドキドキと高鳴ってしまう。


そんな私達を、線目をした白虎町くんが薄っすらと瞳を開き、見つめていた。


「マサト、相変わらず不器用な助け方やなー」
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