Beast Love
***


3年Z組の教室内では、不穏な空気が流れていた。


「おい、マサト。お前、天音さんを泣かせたな?」


鬼のような形相で戻って来た青龍院 透は、今にも鳳凰 正人に食ってかかりそうな勢いだ。


睨み付けられ、鳳凰 正人も負けず劣らずの威圧感を放つ。


「だったらなんだよ? 俺と殴り合いの喧嘩でもしようってか? そんな本物の女みてぇな格好してる奴と殴り合いなんて、したかねぇけど」


「安心しろよ。喧嘩なんて、そんなことはしない。ただ、忠告をしに来た」


「まるでアイツを自分の女みてぇな言い方するんだな」


「ああ、そうだよ」



一瞬の静寂が、ふたりを包む。


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