Beast Love
光り輝く舞台から、君を見る
釘付けにされたみたいにぼんやりとスポットライトの当たる場所を眺めていると、肩にぽんっと誰かの手が乗せられる。
「天音さん、そろそろ出番だな」
足の長いバスケ部マネージャー、小雪さんから借りたワンピースを着て、黒タイツを履いたトオルくんがいつの間にか後ろに立っていた。
「な、なにその美脚……。一瞬、トオルくんかどうか分からなかったよ」
「……天音さんまで、この容姿を揶揄うんだな」
「そっ! そんなつもりで言ったんじゃないよ、ごめんごめんっ」
表舞台には聞こえないように小声でひそひそと謝れば、彼は肩を震わせて笑っていた。
「冗談だよ。天音さんにならなに言われても許しちゃうから、大丈夫」
緩やかな笑顔のままに、トオルくんは一足先に場面が変わり暗転した表舞台へと、一歩足を踏み出す。
「じゃ、出番だから行ってくるよ」
足を一歩踏み出し嫋やかに前進する様は、まるで天女のようで。
パッとライトが点いて役者が照らし出されれば、歓声とどよめきが一気に押し寄せてきた。
「えっ?! ウソ、あの女の人、青龍院くんじゃない?!」
「きゃーーっ! 綺麗ーっ!! ダメ、私、変な趣味に目覚めそう…………」
「嘘だろ、あの超真面目のエリートの青龍院が、こんな役してんの?!!」
「良いぞーZ組ーっ! もっと派手にやってくれーっ」
予想外の格好で舞台に現れた彼に向けられるのは、歓喜の声ばかり。
(す、凄い…………)
耳鳴りがしそうなくらいの歓声を浴びているトオルくんの背中を見て、私は自分に好意を寄せてくれている人がどんな人物かを、改めて思い知った。
「天音さん、そろそろ出番だな」
足の長いバスケ部マネージャー、小雪さんから借りたワンピースを着て、黒タイツを履いたトオルくんがいつの間にか後ろに立っていた。
「な、なにその美脚……。一瞬、トオルくんかどうか分からなかったよ」
「……天音さんまで、この容姿を揶揄うんだな」
「そっ! そんなつもりで言ったんじゃないよ、ごめんごめんっ」
表舞台には聞こえないように小声でひそひそと謝れば、彼は肩を震わせて笑っていた。
「冗談だよ。天音さんにならなに言われても許しちゃうから、大丈夫」
緩やかな笑顔のままに、トオルくんは一足先に場面が変わり暗転した表舞台へと、一歩足を踏み出す。
「じゃ、出番だから行ってくるよ」
足を一歩踏み出し嫋やかに前進する様は、まるで天女のようで。
パッとライトが点いて役者が照らし出されれば、歓声とどよめきが一気に押し寄せてきた。
「えっ?! ウソ、あの女の人、青龍院くんじゃない?!」
「きゃーーっ! 綺麗ーっ!! ダメ、私、変な趣味に目覚めそう…………」
「嘘だろ、あの超真面目のエリートの青龍院が、こんな役してんの?!!」
「良いぞーZ組ーっ! もっと派手にやってくれーっ」
予想外の格好で舞台に現れた彼に向けられるのは、歓喜の声ばかり。
(す、凄い…………)
耳鳴りがしそうなくらいの歓声を浴びているトオルくんの背中を見て、私は自分に好意を寄せてくれている人がどんな人物かを、改めて思い知った。