Beast Love
「えっ、なに、ちょっ、」




近過ぎる距離に思わず一歩下がれば、‪後頭部に手を添えられ、挑発的な言葉を耳元で囁かれる。‬



‪「観客の度肝抜くために最後の演技で一発ブチかますから、ビビんじゃねーぞ?」‬



ドキッ、と心臓が跳ね上がる感覚がした。



嫌がる素振りなんて、見せる余裕も無かった。



マサトはそれだけ言うと、すぐに舞台に戻っていった。


「…………って、いやいやいや、ノゾミちゃんなにボーッとしてるの?! 君も出番だよ?!」


「あっ、そうだった!!」

ハルカくんの切羽詰まった声に、背中を押し出される。



舞台袖では、眉間にシワを寄せて心配そうに私を見つめているトオルくんの姿が。



「……天音さん、マサトに一体なにを言われたんだ……?」
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