Beast Love
「拒否権はねぇぞ。覚悟決めろよ」


もう逃げれない、目の前から整った顔がゆっくりと近付いてくる。


「きゃー! もしかして、」
「いいぞー! キース、キースッ!」


背中に突き刺さるは、幾多の視線と女子生徒たちの悲鳴、野生化した男子生徒たちの雄叫び。


室内はこれまでにないくらいの熱狂に包まれる。


顔面から汗が吹き出るのは、頭上から浴びているスポットライトのせい?


いや、違う。



これは、きっと…………




(もう良い、ここまできたら……覚悟決めてやるわよ!)



すべては最優秀賞に輝くため……そう自分に言い聞かせた。


誰にも思いつかないような行動が出来てしまえるあなたへの想いが高鳴って、頭が真っ白になりそうだったから。



覚悟を決めて目を閉じて直立して待つが…………唇は、重なる数センチ手前で、止まった。

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