Beast Love
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「ノゾミん、お疲れ様〜」
「天音さん、お疲れ様でした」
舞台挨拶に姿を見せずにいた私を心配して、いっちゃんと小雪さんが体育館裏に身を潜めていたところを見つけ出してくれた。
女子3人は日陰で冷んやりとした石階段に座り込む。
「ありがとう。なんとか上手くいって良かったよ」
「めーちゃくちゃ面白かったよ!」
「反響も凄かったよね」
ひとりでいさせないようにと、下段の石階段に腰を下ろしてこちらを見上げてくるふたりに、心が安らいでいく。
しかし、いっちゃんの鼻息は荒かった。
そりゃぁもう、イノシシの如く。
「で、あの最後のシーンって、マサトくんとは本当にチッス(キス)したの? 」
ど真ん中ストレートを投げてくる親友に対し、思考回路がボフンッと噴火する。
慌てて両手を横に振り、しっかりと否定しておく。
「しし、してないよー! あれは角度的にそう見えただけで、」
「でさでさ、ノゾミんが好きなのってズバリ、マサトくんなんでしょ?」
この女子はまたとんでもないことを聞いてくるもんだ、そう思いながらいっちゃんの隣に腰掛ける小雪さんを見ると、彼女もキラキラとした眼差しをしていた。
女子ってなんでこう他人の色恋沙汰になると、活き活きとし出すのだろうか。
(まぁいいや、この際だから言っておこうかな。トオルくんと付き合ってるってこと……)
そう思い、身を乗り出して報告をしようとした瞬間。