Beast Love
少女たちの歓声が弱まったところで、唇は離れていった。


「これで俺と天音さんが付き合ってるって、信じてもらえた?」


妖艶な流し目でそう尋ねられ、ふたりは激しく首を縦に振る。


「し、信じます!」
「疑ってごめんなさい!」


そしてそのままいっちゃんが「急用を思い出したので失礼します!」と叫び、小雪さんの手を引いてどこかに行ってしまった。



大きくなった心臓の音は、元には戻ってくれない。


張り裂けそうなくらい、バクバクと私の胸を叩いている。




(……あれ、なんで涙が……)




ねぇ、どうして私は……泣いているの?



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