Beast Love
私と彼は恋人という関係で、ただ……キスをしただけなのに。
「……本当に嫌ならさ、」
トオルくんがそっと、私の涙を指ですくい取る。
ゆっくりと、ゆっくりと。
愛おしそうに、悲しそうに。
「本当に嫌なら、もっと本気で俺のこと突き放さないと。後悔しても知らないよ?」
汗ばんだ身体をぎゅっと抱き寄せられ、彼と初めて鼓動が重なり合う。
トオルくんの心臓も、私と同じく激しく収縮していた。