Beast Love
緊張しているのか、怒っているのかは分からないけど。



「君を俺のものにしたい。心も身体も、すべて。……他の奴らが触れるだけで、嫉妬で狂いそうになるんだ」


ただ、この人が私のことを本気で好きでいてくれているんだということは、はっきりと分かる。


「せっかく恋人になれた矢先に文化祭でマサトにあんなの見せつけられたら、俺も我慢できるものもできなくなるよ」


あんなことというのは、最後のキスシーンのことだろうか?



「……あ、あれは、実際にはしてないよ?」


恐る恐る事実を伝えると、3回ほど瞬きを繰り返したあと、大きく息を吐く。



「よ、よかったーーーーーーっ」


負の感情へと傾きかかった彼の気持ちが、バランスの取れたものになっていくのを感じる。


誰かに嫉妬なんてされたことがないから、どう言えばいいのか戸惑うけれど。


「心配かけて、ごめんなさい」


自然と出た台詞が、その一言だった。


体育館の中ではすでに別クラスの演技が始まっているのか、派手な効果音が聞こえてくる。

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