Beast Love
ーー……時間は過ぎ、21時50分。


文化祭を終えて帰路に着いた私は、自分の部屋で時計をチラチラ見ながら、落ち着きなくそわそわとしていた。


今ごろみんな学校に集まってるのかなぁとか、羨ましい気持ちを抱えながら。


(薔薇の花が浮かぶプールとか、ちょっと行ってみたかったなぁ〜)


まぁ、学校側にバレたら先生たちに怒られることは確実だろうけど。



……でも、高校生になってから楽しい思い出なんて、桜島高校に来てからしかないから……。


(卒業するまでに少しでも、楽しい思い出を増やしておきたいなぁ)



誰からもお誘いの来ない電子機器を片手に、畳の上をごろごろと転がっていた、その時。




「ノゾミ〜。お友達が玄関に来とるよ〜」


私の名を呼ぶおばあちゃんの声が、廊下に木霊する。



「友達……?」


スリッパを履いてパタパタと玄関に迎えば、そこには玄武くんとトオルくんがいた。
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