Beast Love
「おい、青龍院! こんな時までポーカーフェイス気取ってないで、お前もこっち来い!」

「うわっ! やめ、」


拒否の言葉はザバンッと大きな水柱にかき消された。



ニシシ、と白い歯を見せてハイタッチを決める男子たちのすぐ側で、ずぶ濡れになったトオルくんが立ち上がる。


「……お前らなぁ、」


怒り気味なエリート男子は普段は見せないような悪戯な笑みを浮かべて、自分を落とし入れた仲間たちに覆い被さり、薔薇が舞い踊る水中に次々と沈めていった。



「あははっ」


周りも気にせずお腹を抱えていた私だったが、同じく低い微笑が隣から聞こえてきて、ハッとする。


近くには、胡座をかいて地べたに座っているマサトがいた。
< 313 / 548 >

この作品をシェア

pagetop