Beast Love
「おお、やっぱりもう始めてたか。それにしても、綺麗だなー」


まったりとした口調で感想を述べていた玄武くんも、数秒後には水中に引きずり込まれる。


ゴツン、と鈍い音がしたかと思えば、額を抑えたバスケ部エースが黄色い物体を手にして浮かんできた。


「誰だよ、アヒルのおもちゃ浮かべてるやつ! 頭ぶつけたぞ!」



プールの隅の方では、ギャイギャイと騒ぎ立てるヤンキー、笹原の声が。


「おい、誰か小羊を止めてくれ! プールに入浴剤をぶち込もうとしてるぞ! んなもん入れたら、プールの水が死んじまうだろ!」

「え? みんなの文化祭の疲れを取ってあげようと思って、わざわざ家から持ってきたんだけど……だめ?」


「絶対だめ!!」

動物園よりも声に溢れていて、遊園地よりも煌めいていて。


「あいつら、馬鹿だろ」


マサトの冷静な突っ込みに、思わず吹き出してしまう。

「あははっ、そうだね」


自然と込み上げてくる笑いは、とても爽やかで。
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