Beast Love
「ねぇ、一緒にお昼ご飯食べない?」
勇気を振り絞って声を掛けた、初夏の午後。
「えっ? で、でも…………」
戸惑うカレンは私の後ろで唖然としている友人を見つめている。
「信じられない、そんなやつ誘うなんて! もうノゾミのこと、相手にしてあげないからね」
友人たちはキツイ口調で私を突き放し、どこかに行ってしまった。
(別にいいよ。あなた達みたいに、機嫌を取り合って上辺だけで付き合う関係なんて、友だちって呼ばないし)
心の中では舌を出しながら、現実では「みんな、ごめんね」と頭を下げる。
眉を八の字に下げたカレンの方へと身体を向けて、お弁当箱を机に乗せる。
「ほら、もう何も気にすることないからさ。一緒にお昼ご飯、食べよう?」
人間不振の塊とでもいったような目で、彼女は私に尋ねる。
「…………どうして私なんかに、ここまでしてくれるの? あなたも、イジメられるかも知れないんだよ?」
「どうして、って聞かれても……。ただ、あなたを助けたいって思ったからかな? あと先のことは深く考えてないよ」
素直な気持ちで答えれば警戒を解いて、少し笑ってくれた。
「……バカな人。でも、ありがとう」